検査を勧められない意味
最近、動画配信で医者や数学を教えるサイトにてPCR検査と実際の感染の確率についての内容を見かけました。
検査の精度を90%と仮定。10人に1人の割合で感染者を陰性、感染していない人を陽性と間違えるといったものです。正確には感染を陽性とする確率を感度。感染していない場合に陰性と判断できる確率を特異度と言い異なる要素のようです。
この話の背景は、一般の人が安心材料で検査を受けて陰性のお墨付きを得たいという感情から来ています。問診や検温でおそらく感染者ではないなと医者が判断したとき検査を見送ることに憤慨する方がいらっしゃるそうです。
数学の確率・統計の分野を使います。
検査の精度に対して、もう1つの要素である実際の感染率、検査前確率が0.1%すなわち1000人に1人が感染する病気とした場合、検査で陽性だった場合の感染確率はいくらか?という問題があったとします。
検査の精度が90%なんだから90%なんだろう!って思てしまいます。
10人の感染確定患者を検査したときに9人が陽性と判定してくれる検査自体の能力を示しています。
この問題の趣旨は、ある病気があって検査したときに乱暴な言い方をすると人口比換算で陽性となった場合感染している確率はいくらか?ということです。
答えを言ってしまうと0.5%にも満たないです。
え?陽性なのに実際感染してるのが0.5%っておかしくね?と思いますよね。
数学では高校でやる条件付き確率という種類の問題で、複数の確率の条件が重なったときの計算ですね。もう1つの条件1000人当たり1人感染しているという確率が全体の確率を下げています。
各動画で主張したいのは2点
・やみくもに検査しても確率が低く無駄な検査になる
・体温、風邪症状といった簡単にわかる条件で振り分けて検査を実施する際の検査前確率を上げておく
といったことで、検査前の症状の判断基準にならないように各自気をつけよう!という趣旨です。
マスコミや知識の無いコメンテータ・政治家が騒ぎ立てるものだから医療機関が検査してくれないとか、
行政、医療がやってくれないのなら検査キットを売ってしまおうとか出し惜しみを打開しているという勘違いをする企業さんもいらっしゃいます。検体の採取が医師でも難しい上に、感染していないのに陽性と判定されてしまう偽陽性が増えることでさらに混乱が。
今回は数学から見た感染確率のお話でした。先ほどの確率の問題に戻って、症状でスクリーニングして見かけ上の感染率を1%つまり100人が疑わしく1人が感染確定とした場合でも、その答えはやっと半分の50%越えとなります。
不謹慎かもしれませんがあまのじゃくで、条件付き確率の関するエピソード。
30年前の大学入試の2次試験数学で条件付き確率の問題がありました。その設問の日本語が曖昧で2種類の解釈ができてしまい答えが2種類になるという良くある出題ミスでした。私は2つの解釈で答えをそれぞれ書いておきました。大学側の発表は、どちらの解釈でも正答とする。。。悩んだ時間と半分解いた時間を返せって感じです泣
では。